【記事本文】画像と映像の比率の魔法 ~ 美の数式と16:9の誕生 ~

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「ブログに貼り付ける画像の比率で、
悩んだことはないですか??」


皆さん、画像の比率って気にされたことはありますか? 一見、ただの数字の組み合わせに見えるかもしれませんが、実はこれらの比率は美しさやバランスを感じる上で、非常に重要な役割を果たしています。 今回は、幾つかの特別な比率に焦点を当て、その背後にある興味深いストーリーを紐解いてみましょう。

代表的な比率

貴金属比には、黄金比、白銀比、青銅比、第2黄金比などがあります。

黄金比

1:1.618または約5:8の比率

人間が最も美しいと感じる比率と言われています。 自然、建築、美術、デザインなど、さまざまな分野で古代から現代まで使われてきました。 古代ギリシャの数学者、エウドクソスによって発見されたと伝えられています。 その後、彫刻家ペイディアスが、パルテノン神殿の建設に初めて黄金比を用いたと言われています。
パルテノン神殿(1:1.618)
世界的な大企業のロゴマークや、美容業界などでも理想的な美しさの基準の1つとして黄金比が採用されています。 比例コンパスの目盛りに刻まれていることもあります。

白銀比

1:1.414の比率

正確に表すと「1:1+√2」となります。
白銀比は、日本人に馴染みがあり、別名「大和比」とも呼ばれています。
日本では古くから大工の間で「神の比率」とされ、法隆寺の五重塔や伊勢神宮などの建築物の中に多く取り入れられてきました。
法隆寺五重塔(1:1.414)
紙の寸法に使われることが多く、東京スカイツリーにも採用されています。 白銀比は黄金比(1:1.618)よりも比率の差が小さいため、黄金比より「かわいらしさ」「親しみやすさ」を感じる比率です。

青銅比

1:(3+√13)/2で表される比率

近似値は1:3.303です。青銅比は、黄金比や白銀比に比べると知名度は低いですが、Webデザインに応用しやすい貴金属比です。 青銅比において(3+√13)/2 = 3.303…は、二次方程式 x2 − 3x − 1 = 0 の正の解であり、「青銅数(bronze number)」と呼ばれています。
宗廟/ソウルの世界遺産
※青銅比の建築物を探したのですが見当たりませんでした。写真は1/3.303にトリミングしています。

青銅比は、メインビジュアルやキービジュアルと呼ばれる、ページ上部に大きな写真を設置する場合の縦横比などに使えます。バナー画像の比率に似ていますね。

白金比

1:1.732または1:√3で表現される比率

貴金属比には含まれていませんが、人に美感をもたらす比率といわれています。正三角形の底辺の1/2の長さと、その三角形の高さの比に等しい定数です。
ミロのヴィーナス
※こちらも目ぼしいイメージが見当たりませんでしたので、黄金比の代表とされるミロのヴィーナスを、1:1.732にトリミングしています。
白金比は、デザインに利用できる美しい比率とされています。プラチナ比とも呼ばれます。

16:9

幅16、高さ9のワイドスクリーンアスペクト比

黄金比(約 1.6)より長い(1:1.777)比率です。DVD、ブルーレイ、テレビ、YouTubeなどに採用されており、現代で一番馴染み深い比率といっても良いのではないでしょうか。 ホームシアターや映像視聴向けの比率で、ワイド比率とも呼ばれます。
フル HD解像度(1920×1080)も16:9ですね。現在の主な PC の画面やディスプレイは、16:9がほぼ標準化しています。一般的な解像度は、3840 x 2160ピクセル(4K)、1920 x 1080ピクセル(HD)、1280 x 720ピクセルです。

金属比にはない、この比率はいったい、どこから生まれたのでしょうか?――

映画と映像のアスペクト比: 歴史と16:9の誕生

アスペクト比の起源

アスペクト比(縦横比)は、映画や映像制作において重要な役割を果たす要素の一つで、我々がテレビやPC画面で見る4:3や16:9の比率だけでなく、さらにワイドな2.35:1(12:5)の「シネマスコープ」など、さまざまな比率が存在します。ここからは、これらの比率がどのようにして生まれ、なぜ特定のサイズが選ばれたのか、その歴史に迫ります。

映画の誕生

アスペクト比の歴史は映画の誕生とともに始まります。
まず最初にウィリアム・ケネディ・ディクソンという人物が、35mmフィルムに基づいてアスペクト比を決定しました。 このフィルムは1890年代にイーストマン・コダック社が大量生産を始めたもので、彼は かの有名な発明家・エジソンのもとで働いていました。

彼はフィルム上の映像を4つの送り穴ごとに1つコマ配置することを決め、これがアスペクト比「4:3」または「1.33」の起源となったそうです。

アカデミー比の誕生

音声付き映画である「トーキー映画」が1929年に登場した際、映像を記録するコマの幅がわずかに狭まり、アスペクト比もわずかに変更されました。
1932年、映画芸術科学アカデミーが行った投票により、コマのサイズが22mm×16mm、つまりアスペクト比「1.37」という、最初の「1.33」よりもわずかにワイドな画面が採用されました。

このアスペクト比は「アカデミー比」として知られ、幅広く映画制作に採用されることになります。

テレビの台頭

1950年代に入ると、テレビの普及が映画業界に大きな課題をもたらしました。映画館の入場者数が減少し、映画業界は競争の中で新たなフォーマットを模索しました。 皮肉なことに、テレビの画面サイズが決定されるにあたり、それ以前に存在していた唯一の映像ともいえる映画館でのアスペクト比「4:3」が自然の流れで採用されることになりました。

映画業界はテレビとは異なるフォーマットを採用することで競争力を保つ必要に駆られるようになっていったのです。

ワイドスクリーン誕生の背景

そこで登場したのが、映像の幅を広げることでより高い臨場感を再現可能なワイドスクリーン映画でした。
1952年9月30日にはワイドスクリーン映画が初上映され、それ以降10年にわたって続くワイドスクリーン戦争の火蓋が切って落とされることとなりました。 そしてこの時期、さまざまなワイドスクリーンフォーマットが登場しました。その中でも特に注目されたのは、シネマスコープ、Todd AO、パナビジョンなどのフォーマットです。

様々な名画と共に

「これがシネラマだ(This is Cinerama)」
アスペクト比2.59(シネラマ)
ニューヨークのワーナー劇場で2年にわたって上映されるロングラン大ヒットとなっています。

「シェーン」
アスペクト比1.66
「シェーン、カムバック!」でお馴染みの名画。

「The Robe(聖衣)」
アスペクト比2.35

「十戒(The Ten Commandments)」、「北北西に進路を取れ(North by Northwest)」
アスペクト比1.85
海が割れます。ヒッチコックの台頭。

「サウンド・オブ・ミュージック(Sound of Music)」、「アラビアのロレンス(Lawrence of Arabia)」
アスペクト比2.20
ミュージカルの金字塔。アラビアのロレンスはアカデミー撮影賞。

「ベン・ハー(Ben Hur)」
アスペクト比2.76(!)
見るからにお金掛かってます~

「シェーン(1:1.66)」感動のラストシーン。
あれ?1:1.66…?と思った方、正しいです。もともとアカデミー比(1:1.37)で撮影されたものを、当時人気のワイドスクリーンで上映するために、わざわざ上下削って1.66のアスペクト比にして公開していたそうです。
こうして観ると、下のベンハーとはだいぶ印象がちがいますね。テレビ感♪


「ベン・ハー(1:2.76)」有名な戦車競走のシーン。
今でもすごい迫力ですね~。60年以上前の映画とは思えません。
そして超ワイド+。:.゚(*゚O゚ *)ぉぉ゚.:。+゚ ほとんど青銅比です笑
ちなみに比較のために、上のシェーンとは縦×横で同じ面積になるように画面の大きさを設定しています。映画らしい、イメージはやはりワイドですね~ 迫力が伝わる印象です。

アスペクト比の流れ

サイレント映画の4:3、アカデミー比の1.37、シネラマの「2.59」、ほか「2.35」、「1.85」、「2.20」、そして超ワイドな「2.76」… アスペクト比は名画と共に、その変貌を遂げてきたわけですが、ここまでまだ、現在の主流である「16:9」は登場していません。

16:9の誕生

現在の主流である「16:9」のアスペクト比誕生の理由について、あっけなく説明します笑。

1980年代後半、高精細度テレビ(HDTV)標準の策定が進められた際、SMPTE(米国映画テレビ技術者協会)エンジニアのカーンズ・H.パワーズ氏が「16:9」のアスペクト比を提案しました。
これは、テレビで標準となった「4:3」とワイドの主流であった「2.35」の中間に位置する比率で、さまざまな映像ソースを適切に表示するための、実は妥協案として採用されたのが「16:9」の正体だったのです。

どっちを見ても、黒帯部分は最小限でしょ~?という折衷案でもあるんですね。

「16:9」は1:1.777…。白金比が最も近い

という訳で、この記事では以前から気になっていたブログにおける画像の比率について、掘り下げてみました。この問題は、美的感覚やバランスに大きな影響を与え、様々な文化や歴史に根付いています。
その代表的な比率として、黄金比、白銀比、青銅比、白金比、そして16:9の比率に焦点を当てました。

  • 黄金比は、古代ギリシャから現代まで美的基準として広く使用され、多くの分野で見られます。
  • 白銀比は日本文化に馴染みがあり、建築やデザインで活用されています。
  • 青銅比は知名度は低いものの、Webデザインなどで使いやすい比率として存在します。
  • 白金比は美感をもたらす比率とされ、デザインに利用されます。
  • そして16:9は、映画やテレビ、デジタルメディアで広く採用されています。

画像の比率は、美的感覚やコンテンツの魅力に与える影響を深く探究することで、多くの洞察を得ることができます。それぞれの比率がどのように由来し、歴史的にどのような役割を果たしてきたかを探求することで、私たちはその選択がデザインやコンテンツ制作においてどれほど重要かを理解できます。

自分なりの結論として、使う比率を決めて統一する必要もなく、それぞれの特性(白銀比はちょっと可愛い、16:9はワイドな迫力、黄金比使っとけば間違いない・・)を活かして、情報を考慮することで、画像の比率を選択すればいいのかな、と思いました。

コンテンツの目的や対象に合わせて比率を選ぶことが、情報を伝える効果や視覚的な魅力を最大限に引き立てるのでしょうね。

rubirubi.hateblo.jp